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「……あらぁ、和樹君に愛栖ちゃんじゃないのぉ。今日はいいお天気ねぇ……」
妙に艶かしい声でそう言って来る美優は、笑いながら、しかしどす黒い。
「どうして愛栖ちゃんと、そ、そそ、そんなにしっかりお手々（てて）を繋いでいるのか、……ていうか何で愛栖ちゃんが来てるのか、とっても気になるけど、とりあえず今何時だっけぇ？ 私、何時に集合って言ったっけ？ ねぇ……和樹」
だ、駄目だ。
もう何をどう言い訳したところでコイツの怒りは収まらないかもしれない。
ていうか、言い訳したら余計に爆発しそうだ。
「だ、だって和樹が、あたしに裸を見せ付けてくるんだもん……」
ＷＨＹ!?
ちょっと待てや愛栖さん！ それ今言う必要あるっけ!? 無いよね!?
よりによって美優の前で、何を口走ってやがるのですか!! 殺す気ですか!? そんなに俺に死んで欲しいですか!!
ていうか遅れたの愛栖さんのせいだよね!!
その“俺の上半身見ちゃったよ事件”は、もっと前にあったことで、出発時に髪がおかしいだのと言い出したのはおま……
「……沢田君、今の愛栖ちゃんの言ったことについて、詳しく説明してもらえるかしら？」
ひゃあああっ！ もう和樹じゃなくて沢田君になってるし！
急に美優が遠い存在となりはて……
「ムキャーっっ!!」
次の瞬間、猿みたいな声をあげて、俺に飛びかかってきました。
あぁ、俺に神のご慈悲のありますことを……。
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