浴衣三姉妹(?)大暴走!?

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 最低なのは愛栖だろ。人のせいにしやがって。  ところで、こんな状況下で愛栖は未だに手を離そうとしないのだが、何故なんだろう。  俺はもう手を握る力は弱めているから離そうと思えば離せるのに、愛栖の方から俺の手を握り続けている感じだ。  恥ずかしかったんじゃないのか、俺と手を繋ぐのが。  何で今は自ら繋いで来てるんだ。  美優はそれを見るとますます腹が立つのか、 「あ、愛栖ちゃん、いつまでもこんな露出狂と手を繋いでることないわよ!」  と愛栖の手を無理矢理引き剥がし、俺と距離をとった。  それにしても露出狂とは人聞きが悪い。  別に狂ってないし、見られたのは上半身の裸のみだから。  ……もう何を言っても無駄だろうな。ていうか、言い返すのも疲れてきた。 「言ってろ。おいハル、何処に買いに行くんだ、浴衣」  俺はハルの元へ歩み寄った。  さっきは視線が痛い気がしたものの、何だかんだ言っても、ハルだけは俺を避けたりしない。 「……この先の……ファッションセンターです」 「“やまむら”か?」  俺が訊くと、ハルは無言で頷いた。  やまむら、とは駅前にある結構大きいファッションセンターで、俺もたまに行くことがある。 「じゃ、行くか、ハル」  ハルはまた無言で頷くと、俺の横にちょこちょことくっついてきて、二人並んでやまむらに向け歩き出した。  
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