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俺たちの背後では愛栖と美優がこちらに警戒しながらついてきているようだが、今はとりあえず無視することにした。
おそらくいずれ、美優の方から折れてくれるだろうしな。
集合場所から五分程歩けばやまむらに到着する。
中に入ってまず感動したのは、服の多さとかそんなんじゃなくて、店内の余りの涼しさだ。
今まで炎天下に居たから余計にそう感じるのかもしれないが、とにかく感動するぐらいに涼しかった。
ずっとここにいてぇ。
俺とハルは、浴衣コーナーが何処にあるのか店員に訊き、案内されるがままにそこへ到着した。
ちなみに少し距離を置いて美優と愛栖もしっかりついてきている。
愛栖は浴衣コーナーを見るや否や、目を爛々と輝かせかなり眩しい笑顔を浮かべていた。
美優も先ほどよりは表情を緩め、浴衣を黙って眺めている。
「……先輩」
俺は腕を引っ張られ、ハルのサイズに合う浴衣の売っている場所に連れて行かれる。
移動中のハルは、無表情ながらも無邪気な少女のようだった。
「……ここ」
――が、ハルのサイズの浴衣が売っている場所らしい。
色とりどりで、模様も華やかであり、今から明日が楽しみになるほどだった。
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