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「くっ、」
少女は剣を持つ手に力を入れるが、二人の力に柄と柄本が振れ合い、剣は風呂上がりの小さな石鹸よろしくかたかた鳴るだけだった。
……ロビーで待たずに外出るからだよ。
そんな彼女の目の前には勘駄川ならぬ三途の川。
赤い手ぬぐいはないけれど、もうすぐ赤く生温かい液体が彼女のマフラー代わりになるのだろう。
「カムバック地の文、君がイッちゃうと話が本気で暴走するよ?というか素手でどうやって血のマフラー作れと?」
……根性で?
「無理だから?!」
うん?本当に?設定上は――
「ゲフンッ!……消えたいのかい?」
イイエ、メッソウモナイ……。
「この男、強いっ!」
「いや、そのネタ分からないから……」
剣で押してダメならと、どうにか引き切るか振り払うかして剣を自由にしようとしていた少女が叫ぶが、地の文を正気に戻し終えた男が覇気無くつっこむ。
「何故これほどの男が……」
「ネタ引きずらなくていいから。っていうか随分余裕だね?」
男は少女の芝居がかった物言いに呆れる。
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