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「あらあら、楽しそうね。」
奥の部屋から母が現れた。
二人のやり取りを楽しそうだと断言するあたり、声をかける前に眼科に行った方が良さそうだ。
「脳外科とか精神科じゃなくて?」
「これが楽しそうに見えるのか……」
楓が疑問を挟み、泥棒が意気消沈気味に言う。
「泥棒じゃないからね?」
ちっ
「母さん来ちゃダメ!この人はどうせ私たちを殺すつもりよっ!」
「だから君は分かりにくいネタを挟むなって。」
「さっきよりはメジャーよ」
「シーンがマイナー過ぎるだろ?!」
騒がしい二人を眺めているほやっとした雰囲気の母は頭の上に?を浮かべた。
「何を言っているの?この人はあなたのお父さんでしょ。」
「えっ?!」
と、呟いたかと思えばダッシュで母の元に行くとそのまま耳を借り、小声になってない小声で囁いた。
「母さん、悪いことは言わないからあれは止めといた方がいいよ。父さんと同じで生活力無さそう。」
「ひどっ!……まあ否定は出来ないけどね。」
「出来ないのかよ!!」
少女につっこみ返され、何処か照れ臭そうに頬を掻く。
「いやまあ、家族放置して出てっちゃったからね」
「奇遇ね、私の父も私が小さい頃家族放置して出ていったわ。」
自慢じゃない話を自慢じゃないけど、と言いつつ話をする時のように何故か無駄に胸を張って言う。
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