ようこそ、我が家(不毛の地)へ

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楓はドタドタと階段を上がる。と姉の桜が何かしているのが目に入った。 「おねーちゃん!」 「何? 邪魔しないでよ、ゲーム作ってるんだから。」 「ゲーム? って、例の?」 「そう、例のコンテスト出品用!あの伝説のプロジェクトなんか抜いてやるくらいのゲームを作るんだから!」 姉の周りを春の花が舞い飛び、そのままやる気の炎に消し炭にされた。 言ってしまえばRPGツクールのようなゲームを作るソフトで作った作品をモバ小説みたいにコンテスト通ったら有料で売るよー。という感じだ。 勿論、自力でゲームを作るプログラムを作ってもいいし、そちらの方が評価も高い。 ちなみに最終的に売るため本作品は一部の審査員のみプレイでき、一般で予選投票するユーザーには無料配布はしないが、サイトに行けば候補作の体験版のプレイができる仕組みになっている。 そのため、本編は良い作品が落とされたり、本編が悪くとも体験版で予選を通過する作品も少なくはない。 ……まあ、そんな作品は第一審査で落とされるのだが。 参加は個人、グループどちらでもよく、姉――桜(仮)の言う伝説のプロジェクトとは、数年前、圧倒的な支持でコンテスト優勝を勝ち取り一大ブーム――というか社会現象を巻き起こしたゲームを開発したグループだ。 元々ゲームには敏感だったこの世界の住民のプレイヤー、制作者双方の熱を更に上げ、プログラム的にもゲーム界の躍進に多大な貢献をしたグループだ。 ただ、その編成チームは小数だという以外素性は知られておらず、謎が多い。
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