天才復活~CALL MEが鳴り響く日まで~

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「秋山!秋山!」 観客からの声援が鳴り止まない。 プロレス界に現れた天才、秋山政人の入場だ。 彼のプロレススタイルは芸術と言われ、彼の右に出るレスラーはいなかった。 しかしその裏で、秋山は大きなプレッシャーと戦っていた。 天才であるが故に、常に最高の試合をお客さんに見せなければいけない。常にトップであり続けなければならない。 秋山が期待されるのはもはや必然だった。 秋山の苦悩は試合内容にも出た。スピードは衰え、覇気が無く、年齢的な衰えもささやかれた。 やがてファンも徐々に離れ始めた。 そして体にも限界が来た。17年間一度も試合を休んだことのなかったため、首、膝、腰とこの三カ所が爆発寸前だった。 秋山は長い期間の欠場に入ることになった。医者から年齢のことも考えて、引退することをすすめられた。 絶望感しかなかったが、それでも秋山は諦めなかった。引退を拒否し、治療とリハビリを続けた。 そんな秋山に希望を与えることがあった。秋山のファンがたくさんの手紙をくれたことである。 「秋山さんのリングで戦う姿をもう一度見たいです。」 「頼むから引退しないで」 そういう手紙がたくさん届いた。秋山は涙を流して喜んだ。 「この恩は絶対リングで返す。みんな、待っていてくれ」 それから2年後、会場にGO WESTの「CALL ME」という曲が流れた。秋山政人の入場テーマ曲である。この曲はデビューしてからずっと変えていない。辛いときはこの曲を聴き、自分を励ましていた。それだけ思い入れのある曲だった。 ようやく帰ってきた。秋山政人がリングに帰ってきた。ここまで長かった。観客はあの頃のように「秋山」コールで秋山を迎えた。この日一番の歓声だった。みんなが秋山の復帰を待っていた。 復帰戦には負けたが、秋山は確かに感じていた。プレッシャーに負けてはいけない。自分を応援してくれるファンがいるから、そんなことではいけない、そう感じていた。 二度と来ないと思われていた「CALL ME」が鳴り響く日が遂に来た。そのメロディーは、ファンの心に永遠に鳴り響く…
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