1人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
緑葉から陽光が漏れる。
光は水面に反射し、一人の少女を照らす。
気品に満ちた顔、白いドレスに身を包み、誰もが目を引くブロンズの髪を揺らし少女は歩いていた。
「お姫様、お姫様」
どこからか男性の声がする。
しかし、辺りを見回せど人影は見つからない。
「どこにいるのですか?姿が見当たりません」
「お姫様、私はここです」
その声は下から聞こえた。
小さな木の枝、その先にまた小さな緑のカエルがいました。
「私が貴女を呼びました」
驚くことにその声は、カエルから発声されているものでした。
少女は透き通るような白い手で、カエルを持ち上げ顔のそばに寄せる。
「何故貴方は、私を呼んだのですか?」
「私は困っているのです」
唐突にカエルはそう言った。
「貴方は何に困っているのですか?」
「私は見ての通りカエルにございます。しかし、哀しいことに私は泳ぐことができないのです。どうにかできないでしょうか?」
「それならば私がキスで泳げられる魔法を掛けて上げましょう」
「ウホッ!マジで!?ササッぶちゅっとお願いしますよ!ぶちゅっと!」
「今から貴方を湖の真ん中に投げてあげましょう。それで生き残れたら泳げると思いますがいかがでしょう」
「ゲロゲロ、僕は泳げないカエルだよー」
手から飛び出し、そのまま森のほうへと跳ねていきました。
少女は、誰もが目を引くブロンズの髪を揺らし歩いていきました。
最初のコメントを投稿しよう!