第三章

3/7
前へ
/16ページ
次へ
  しかもおもしろいことに、生態系に影響をおよぼす強い紫外線や放射線のたぐいは、ほぼ完全にバリアが遮断しているという観測データがあり、つまり外部らは植物などが必要とする日焼け程度の紫外線より下の波長の光線は通すが、内部からは赤外線以外いかなる電波、光線も通さないということだ。 そしてアメリカの公式発表によれば、宇宙構想用ルビーレーザーを93度の角度でバリアにあてたところ、反射角に位置するエリー湖の水温が異常にあがり、バリアが超高出力のエネルギー波を線形に放出するという報告が世界を駆け巡った。 もしこれが恒常的な現象ならば人類は電力にことかかない世界を実現する可能を秘めていることになる。 そして人類が最も関心をよせる問題のひとつを、ロシアが実験によって解明しようとしていた。 今まさに、SS―20型大陸間弾道ミサイルが打ち上げられようとしているとき、野崎と三村は国会議事堂の真下にある緊急対策本部指令室で、喧騒に紛れて夜食をとっていた。 「例のうわさを聞いたか野崎?」 三村はエビフライをほおばりながら野崎に体をむけた。  
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加