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「なあ三村、あれを地球にはりめぐらしたのは異星人だと思うか?」
「さあな……まあ自然現象じゃないってことだけは確かだ」
「あれがカギをにぎってると、おれは思うんだが……」
野崎は弾道線の映る大画面へむけて、ぐいとアゴをつきだした。
「あれがバリアを素通りするならよし、そうでなければ……」
「ピーター・ハイアムズの言葉通りか?使えない間借人だなオイ」
「それ以外に目的があるならってことさ」
「………野崎よ、みんな同じなんだ。同じことを考え、同じことに不安になってる。もし異星人があれを張ったのなら、なぜ人類と接触しなかったのか、接触しなかったのではなく、したくなかったんだとしたら?
やつらは人類を調べつくして、そのうえでバリアを張ったとも考えられるわけだ」
三村は放物線を画く予定弾道を表示した画面の前でそわそわ動きまわる役人を横目に、不敵な笑いをうかべた。
「あいつを見ろよ、よっぽど気になってるんだな………もしミサイルが素通りしなかったときの、やつの言葉がおれには聞こえるようだ」
そうこうするまに弾道を這う光点は徐々にバリアへと近づき、指令室は緊張につつまれた。
野崎はタバコの最後のひとくちを吸い、灰皿へ押し付けて気力なく話しはじめた。
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