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野崎はしばらく原因を考えてみて、あることが気になった。物は試しと運転席にある低出力パーソナル無線を使って受信状況を確認してみると果たせるかな、これといった異常はない。
とりあえず事情を知る者がいるならば話しを聞こうと通話チャンネルを切り替えるうち、自称業界人なる人物と話すことが出来た。
「いま阿蘇から発信してるんだが、どこも電波状態はオカシイようだな」
《昨日の深夜からこんな調子さ。テレビもラジオも携帯もオシャカだ、公共メディアは軒並みストップしてる。うわさじゃ世界中の電波が混乱してるらしいぞ》
「その情報をいったいどこで?」
《一時間ほど前、熊本TVのダチに会ったんだ。ケーブル回線の通信マテリアルは海外と接続可能なんだが、局の電波機材は短波からメガヘルツ帯まで収集つかない状態らしいぜ》
「妙だな、パーソナルに異常が出ない理由は何だろう」
《そこだよ。バンドか、エリアに関係あるのかもしれないが………》
まさか………。野崎は荷台にある高出力トランスミッタをきり、急いで車外の荷物をまとめるとパーソナル無線を開いたまま車を発進させた。
東の地平線からジリジリと空を焦がし始めた太陽は、彫りの深い野崎の横顔を燃やしている。
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