第二章

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  野崎が世間の騒乱に行く手を阻まれ始めたころ、東京は世田谷にある文部科学省が設立した第三セクター、グローバル・ライト社ビル三階で三村開発チーフとその一行は天地をひっくりかえしたような大騒ぎのただなかにいた。 「宇宙開発事業団の小松さんとつながりました!6番です!」 「それより緊急対策本部にいる首相と連絡はついたのか!」 「いいか、誰も機械にさわるな。電波を送受信するものはなんでも…キサマ、携帯をつかうな!」 「三村チーフ、羽田と成田の広域レーダー輻射が住宅地をもろに直撃しています!」 三村は会議室の二百インチ大画面に映し出される地上解析図をくいいるように見つめていた。 中年太りの巨漢は顔を脂汗でテカらせ、白いワイシャツにグレーのスラックスはコーヒー染みとシワで三村の疲労を見事に表現していた。 膨大な書類と解析データ、ところ構わず何台ものノートパソコンが置かれた円形テーブルの前で、両手に掴んだ分厚いプリントアウトをめくりながら三村は部下の一人にデータの確認をする。  
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