第二章

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  三村は近くにいた5、6人をはじきとばしてパソコンにとびついた。 「ばかやろう、なにをしてやがった!」 《そんなことより三村、うちのネット端末をみたんだが上空五百キロの衛星軌道になにかの反射体があるっての本当か?》 「本当も本当、これぞまさに一大事出来(しゅったい)だ。世界中がひっくりかえっちまってる。 あらゆる電波と電磁波のたぐいが跳ね返されて、その反射体ってのが、受けた電波を増幅して全世界にまきちらしてやがるんだ」 三村は隣にいた部下からコーヒーをふんだくると、テーブルの上にあるデータプリントをわしづかみにしてニラミつけた。 《何かの自然現象かな、例えば電離層を強化するものか、あるいは…》 「一種のフィルターになってるとこまでは掴んだ………地上にとどく光線や粒子線は近紫外より上はみんなカットされちまってるんだが、地上からねらうものは放射線から可視光まで殆ど反射されちまう………お手上げだよ、こいつが地球をそっくり包んでるってんだからな」  
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