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そのとき、大画面がまたたき、ひとりの初老の小男が映し出された。
《久保くんはいるか》
「し、首相……!それがいま社長は胆石で入院しておりまして、不肖、ワタクシ三村が代役をつとめております」
脂汗でぬめる額をふきながら三村は緊張の中なんとか答えたが、疲労による焦燥が意識の集中を妨げる。
《いったい日本はどうなっとるんだ?国へ帰ろうとしたフィリピンの大統領が成田からえらい剣幕で電話してきたぞ!》
「そ、それが、空港のレーダーが上空から干渉してきまして……」
過度の緊張とストレスが三村を締め上げる。
《電話しようにも衛星回線は繋がらんし、議会の汚職をほっとくワケにもいかんしで大統領はカンカンだ!》
「た、ただ今事態の収集に向けかっかっ関係省庁と緊密なる連携をとるべくですね」
《三村よ、いま空自のジェットが民家につっこんだぞ》
「だ、誰か頭痛薬……」
そういったまま三村は白目をむいて、その場でひっくり返ってしまった。
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