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僕は丁寧に顔を洗いながら、美音子ちゃんの今日一日がそうだったら素敵なのに…と、あれこれシミュレーションしては溜め息をついた。
現実の美音子ちゃんは「おはよう」の一言さえ口にできない内気な女の子。
授業で先生に解答を指名されても赤面症を併発して上手に答えられなかったり、意地悪なクラスメートに靴を隠されたり仲間外れにされたりもする。
そんな話を聞くたびに僕は、学校なんてやめちゃえばいいのに、って思うんだけどね。
美音子ちゃんは中学3年生。誕生日は12月だから現在のところ14歳。背中まであった長い黒髪は今年の始めに同じクラスの男の子にチューインガムをくっつけられて、それからずっとショートカット。
短い髪も似合っていて可愛いけど、僕は美音子ちゃんにこんな仕打ちをした駅前の美容院…ぢゃなくてクラスの男の子が許せなくて、いつか仕返しをしてやろうと爪の手入れを日課にしている。
医療事務の仕事をしているママは帰りが遅く、単身赴任で東京に行ってるパパは月に1回ぐらいしか帰ってこないけど、美音子ちゃんは僕がいるから寂しくないし、僕の妹がお世話になってるお隣のお婆ちゃんとも仲良しだ。
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