0人が本棚に入れています
本棚に追加
輝魅は敵をすべて倒し最後二人だけになった後に慕にすべてを委ねて降伏する……それが二人で決めたルール。
勝者の権利、それを使えばすべてを奪える。相手にすべてを託して降伏する……それは信頼が無ければ出来ない事。
輝魅は慕を……共に戦う彼女を心から信頼していた。しかし……慕は変わってしまった。
慕は戦いが終わった後に記憶や精神的な物を奪い敵の記憶や人格を破壊した…そこまでは輝魅も我慢出来た……が……慕は殺人まで……いつしか慕は倒した相手から平気で命を奪えるようになっていた。
目の前で変貌していく慕…輝魅は彼女に恐怖する。そして中学三年の一年間は偶然にも戦いの無い日々が続いた。
その間に輝魅は慕を避けるようになっていた。進学も私立の中学校からわざわざ慕の絶対に行かない平凡な高校にする事にした。それなのに……
慕は追って来た。今までと同じように一緒に戦って欲しいと言う。
でも、輝魅には以前のように慕を信用出来なくなっていた。
終闇の戦いが終わった後に自分の目の前に転がっていた幾つもの死体……全て慕が終闇の儀式の時に命を奪うように悪魔に命じた結果だ。
輝魅は命まで取るのは止めるように何度も言った。けれど慕はそれを無視した。自分や輝魅を傷つけようとした者は許さない…だから殺すのだと。
輝魅は慕が怖くなり距離を置いた…最近は戦いも無く進学もわざわざ慕が絶対に行かない平凡な公立高校にしたというのに…
慕は追いかけるようについて来ていた…入学式に現れたのだ。
二人はもう前のような関係には戻れない…
輝魅に残された選択肢は戦う事だけだった。
戦いに勝ち慕から記憶を奪い自分の事を忘れて貰う…それしか縁を切る方法が無かった。
最初のコメントを投稿しよう!