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「行くわよ……慕……炎華毒拳!」
連続して繰り出される輝魅の紫と赤に燃える拳……それは防御の為に慕が作り出したシャボン玉を幾つか砕いたが次々に生み出される新しい泡が壊された所をすぐに修復して行く……
「く……キリが無い。」
輝魅は攻めあぐねていた。自分の攻撃手段は毒と炎、共に威力は低く相手を倒すというよりは負わせた火傷や毒によりジワジワと体力を奪うというもの……だから相手に触れる隙が無いこの状況では打つ手が無い。
「無意味だと解ったでしょう……あなたが傷つけ……弱った相手を私が閉じ込める。今までそうやって戦って来たんですもの……お互いに手の内は知り付くしている。だからまた一緒に……」
慕はもう誰も殺さないと……だからまた一緒に戦って欲しいと言った。
「本当に……本当なの?慕……。」
(信じたい……でも……)
慕はためらい無く命を奪って行った……終闇の戦いが終わって現実世界に戻った時に足下に転がっていた死体……
あれを見て……誰が慕を信用出来ると言うの?
輝魅は拳をキツく握り締める。彼女には慕を信じる事が出来なかった。
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