泡と炎

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不意に静寂が訪れる。 入学式の会場……沢山人がいたはずの会場から二人以外の人間が忽然と消えてしまう。怪異……しかし……二人の女生徒には少しの動揺も見られない。まるでいつもの事だと言うように平然と座っている。 しばらくの沈黙の後に左の席に座っている細長い銀縁眼鏡を掛けた真面目そうな長髪の女子が口を開いた。 「私……もう我慢できないわ!」 長髪の女子は椅子から突然立上がり叫んだ。 「無理……もう嫌よ。あなたとまた3年間過ごすなんて絶対に嫌!。」 立上がり、椅子を蹴飛ばし、狂ったように髪を振り乱しながら叫ぶ少女…… 「落ち着きなさい……これはあなたも望んでいた事よ。私にはあなたが必要……あなただって私を必要としたわ。」 通夜輿 慕 は椅子に座ったまま眼鏡を掛けた長髪の少女……夜髪 輝魅(やがみ てるみ)に冷然と告げた。
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