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「さぁ……準備しなさい。私には無抵抗の者を倒す趣味は無いわ……」
夜髪 輝魅は通夜輿 慕に向かって燃え盛る炎華毒拳を突き出す。
「わたくしに時間を与えた事……後悔させてあげる。」
通夜輿 慕は立上がり輝魅との間に5メートルほど距離を取る。そして目を閉じると胸の前で祈りを捧げるように静かに手を組んだ。
「深円なるもの……無限に続く果て無き輪舞。
包み……阻み……惑わせよ。邪悪なるもの……その一切を封印するために。」
賛美歌を歌うような澄んだ声……通夜輿 慕は軽やかに言葉を紡いでいく。すると祈りを捧げる彼女の口から泡が溢れ出す。20個ほど生み出された小さな透明の玉は次第にその大きさを増して行き……やがて大きなシャボン玉となった。
巨大化した泡の一つは慕の体を包み残りは無秩序に入学式の会場である体育館の中にフワフワと広がって行く……
「聖なる裁きを……悪に弾劾を……真なる正義の力を我に…」
「呪歌式成……聖円泡 The sacredness circle of soap」
右手を振り上げた慕の命に従うように体育館いっぱいに広がった大きな泡が輝魅を取り囲み一定の距離を保ちながら周囲を回転し始める。
「さぁ……始めましょう。終闇の戦いを……」
慕のその言葉を待ち兼ねたように輝魅は拳を振り上げると猛然と慕に襲いかかった。
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