泡と炎

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「うあぁぁぁっ!」 髪を振り乱しながら全力で打ち込まれた輝魅の右拳…… しかし、それは慕に届く前に周囲を旋回していた泡に阻まれる。 炎華毒拳の灼熱の赤と紫の毒を混ぜた炎は数個の泡を消し飛ばした……が……その先……慕のいる場所までは届かない。 壁のように密集した堅さと弾力を持った泡が炎と毒を防いでいた。 「忘れたの?あなたは攻撃担当……私は防御……お互いに相手を倒す決め手となる手段を持ってはいない……だから協力して来た。」 言いながら慕の口からは砕かれた泡と同じ数の小さな泡が生まれる それは再び大きなシャボン玉となり慕を守るように壁の一部になった。 「知っているわ……あなたと私は一心同体。それで何人の敵を倒して来たと思うの?終闇の戦い……この地獄を抜け出す為に……あなたの事なら誰よりも私が知っている。だからこそ許せないのよ……人の心を捨て、悪魔になって行くあなたが!」 終闇の戦い…悪魔に魅入られたものに与えられる力。あの日以来……二人は終わり無き戦いの日々に引きずり込まれた。
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