時が過ぎゆき

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時が過ぎゆき

【少しタイミングがずれてしまったな‥。】 あの人が6年前に言った言葉 ──。 6年前のちょうどこんな季節だった‥。 寒い冬が終わって、暖かい春になったばかりの夜の空気を吸って想い出す。 誰にも応援してもらえない恋。 誰にも言えない恋。 それでも私は、あの人を好きになり、一瞬の夢に飛び込んだ事を後悔していない。 何年経ってもあの頃を、つい最近の事の様に鮮明に記憶が甦ってくる。 肌と肌が触れ合っていても決して想いが叶う事はない。 息が、かかる距離にいても気持ちが届く事はない。 生涯好きになった人は、守らなければいけない物があったから‥。 今でも‥あの人に会えた事、好きになった事を誇りに思う。 たくさんの言葉と、たくさんの希望や夢を与えてくれたから‥。 今年は、洗濯物をベランダに乾してる時に想い出した。 あの頃と同じ匂いの空気を吸って‥。 来年もまたこの空気の匂いを嗅ぐと想い出すのかな‥と思いながらベランダの窓を閉めた‥
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