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「おいっ玲於っ。」
廊下を歩いていた玲於にハンド部の同級生が話しかけた。
「何?どうかしたの?」
「どうかしたじゃねぇよ…
緋埜耶はまだ学校にこねぇのかよ。」
またか…。と玲於はため息をつく。
緋埜耶は高校入学当時、仲のいい仲間と廃部寸前ながらのハンド部へ入った。
新入生が入っても人数が足りなく、緋埜耶の分がひつようなのだ。
「兄貴さぁ…今日は来るつもりでいたんだけどね…。
ちょっと親ともめてさ…。」
はぁっ?と部員たちはキレた。
「緋埜耶のせいで何回大会に出られなかったか知ってるか?
もうすぐ最後の大会なんだぜ?
どうしてあいつに振り回されなくちゃならねぇんだ!!」
「本当にゴメン。兄貴にもしっかり言うけどさ…。」
もう一人の部員が鼻を鳴らしていった。
「どうせ俺らのことなんて忘れてるんだろ。
少しくらい頭が出来るからって、いいご身分だぜ。」
「その言い方はねぇだろ…。」
玲於は静かに、しかし怒りのこもった声だった。
「確かに兄貴が悪いよ。
何も言わずに出て行ったりしたからさ。
だけどあんたらももっと兄貴に気をくばれなかったのかよ!!
兄貴は待ってたかもしれないんだぞ!!!」
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