636人が本棚に入れています
本棚に追加
/266ページ
何でもない日常を切り取る。
州の中でも有数の広い公園。
平日・休日に関係なく賑わう公園は散歩や雑談の場に相応しい。
いつものジョギングのコースを走る青年も、愛犬とゆったり散歩するおじいさんも、子連れで追い掛けっこをする奥様方も。皆が皆等しく幸せで、等しく充実していて、等しく人生で苦楽を味わっている。
街の賑わいもなんのその。
都会と田舎の狭間でひっそりと設けられた清閑な場所は、流行りや先端技術といったものから切り離すされた独自の世界を築きあげている。
いうなれば、喧騒と繁栄の間にある平和な中立地帯。
世相ともかけ離れた聖地がごとき中立地帯は、緑が溢れてるわ小鳥はさえずるわで、平和そのものを象徴しているかのような雰囲気が満ち満ちている。
しかし、そんな平和な土地でも見えない影の部分が存在する。
それがこの場所。公園の四方を囲む道路からは決して見えない、広いはずなのに平和の影に隠れてその姿を見せようとしない部分が、ひそかに波をたてていた。
その影の部分で、子供達が輪を作って群がっている。子供たちはそれぞれ石つぶや棒きれを手に持って一箇所に投げ放っている。そういった遊びなのだろうか?
最初のコメントを投稿しよう!