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ふと目が覚める。
ここは二階にある自室。そして自分はベッドの上。
暗い部屋の中のはずだが、周りがよく見えるのは、ただ一つの出入口であるドアがわずかに開いていたからだろう。
下で誰かがまだ起きているようだ。話し声が聞こえる。
「パパ……?」
聞き慣れた声が聞こえる。
聞こえる声は二人分。
一人はママ。もう一人は……父親、だろうか?
父親の事はあまりよく知らなかった。
家にいたことなどないし、母親は話してくれなかった。それでも母親といるだけで幸せだった。
階段を下りていく。
声がだんだん近くなる。言い争っているようだ。
二人がいるリビングのドアの前に着く。
ドアはわずかに開いていたので、隙間からリビングの明かりが廊下にもれている。
リビング前の廊下は暗いので二人がこちらに気付くことはない。
ドアの隙間からそっと中の様子を見る。
奥にいるのはママだ。
そしてママに向き合いこちらに背を向けている男性がいる。
パパかもしれない、という期待に胸がふくらむ。
しかし───。
「だから止めろと言ったんだ!」
男が激しい口調で叫ぶ。
「お願いだから考え直して!」
ママも必死に叫ぶ。
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