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筆記用具に肩からかけられるハンドバッグ。
カリフォルニアでも特殊な制服必須、帽子付きの学校はサラの家から歩いて十五分のところにある。
「忘れ物はないわね?」
玄関でモリーがサラに確認をとる。もっとも、今日は小学校の始業式なので、授業はなく、荷物はさっき確認した筆記用具だけでいい。
「うん。行ってきます!」
元気に返事をしたサラは、玄関の扉を開け、通学を開始した。
外は快晴。
始業式ということで新たに始まる学校生活に期待が高まり、自然とサラの足はスキップを刻みだす。
学校から家までの半分の距離にある大橋をサラは渡っていた。
陽気なスキップのリズムは変わることなく続いている。
ふと大橋の反対側を見ると女の子がやってくる。
奇妙なことにサラと同じような格好で、同じ学校の制服を着ている。
歳もサラと同い年くらいか。顔は帽子で隠れている。
二人の距離が近くなる。
二人が擦れ違う。
擦れ違う時、奇妙な感じを覚えたサラだが、気にしないことにして先を急いだ。
今日は始業式。新しい季節の到来を告げる、心温まる日でもある……。
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