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〔そんな……それじゃ……今……私の……後に……いるのは……?〕
冷や汗が、モリーの額から溢れ出す。
例えようのない寒気に体がすくむ。それは一般的に言えば恐怖という感情だった。
背後にいるのは娘ではない。娘のカタチをした"何か"だ。
後を振り向きたくない。しかし、そんな事を考える暇すら与えてくれないのか、ふいに少女が一言囁く。
ママ──────
少女の帽子の隙間から、絶対的な死を予告するエメラルドの瞳とともに笑っている口元が覗く。
我慢ができなくなったサラは受話器をヘレンから引ったくって、大声で受話器の向こう側にいるモリーに叫んだ。
「ママ!」
電話口からゴトンと何かが倒れるような音と、受話器が床に落ちる音。
「ママ!ママ!?」
状況がわからず心配しているヘレンに構わずサラは叫び続ける。
「ママ!ママ!返事して!」
受話器が拾われ、口元に持って行かれるような気配に多少の安堵感を覚え、再び母親を呼ぶ。
「ママ!ママ大丈夫!?」
『はぁ~い。はじめまして。……いえ、"お久しぶり"ね』
代わりに聞こえてきたのは母親ではなく、聞き覚えのない少女の声だった。
「誰!?誰なの!?ママ……ママはどこ!?」
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