Hateful eyes ~憎しみに満ちた眼~ episode.1 憎しみ

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電話口から通話を切断したつーつーという音が聞こえる。 自らを抑えきれず、弾けるようにサラは走りだした。 遠くでヘレン先生が呼び止める声が聞こえる。 けれど今は止まっている時間などない。 学校を出て大通りに出る。大通りを一直線に突っ切って行けば大橋だ。 その大橋の前には国道が走っており、目の前を車が右から左へ、左から右へ行き交う。信号は赤のままでしばらく変わる様子はない。 ───かまうもんか! たとえ赤でも突っ切って行く。 今のサラは止まれない。止まってはいけない 横断歩道に差し掛かる。信号はまだ赤。周りにいる人達が口々に危ない、と叫ぶ。事実、目の前を大きなトラックが通る。 このまま突っ込めば小さな体は無惨に撥ね飛ばされ、他に走っている車によってぐちゃぐちゃに引き裂かれるだろう。 サラは家に辿り着けずにここで事故死する。 けれどサラには、この眼がある。 ───邪魔だ! その場にいた誰もが、少女は死ぬ。 車に撥ねられて死ぬ。 そう思った時、鉄がひしゃげる音がして、トラックの後に積んであるコンテナに風穴が空き、その空いた穴から撥ねられるはずだった少女が飛び出してきた。
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