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電話口から通話を切断したつーつーという音が聞こえる。
自らを抑えきれず、弾けるようにサラは走りだした。
遠くでヘレン先生が呼び止める声が聞こえる。
けれど今は止まっている時間などない。
学校を出て大通りに出る。大通りを一直線に突っ切って行けば大橋だ。
その大橋の前には国道が走っており、目の前を車が右から左へ、左から右へ行き交う。信号は赤のままでしばらく変わる様子はない。
───かまうもんか!
たとえ赤でも突っ切って行く。
今のサラは止まれない。止まってはいけない
横断歩道に差し掛かる。信号はまだ赤。周りにいる人達が口々に危ない、と叫ぶ。事実、目の前を大きなトラックが通る。
このまま突っ込めば小さな体は無惨に撥ね飛ばされ、他に走っている車によってぐちゃぐちゃに引き裂かれるだろう。
サラは家に辿り着けずにここで事故死する。
けれどサラには、この眼がある。
───邪魔だ!
その場にいた誰もが、少女は死ぬ。
車に撥ねられて死ぬ。
そう思った時、鉄がひしゃげる音がして、トラックの後に積んであるコンテナに風穴が空き、その空いた穴から撥ねられるはずだった少女が飛び出してきた。
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