Hateful eyes ~憎しみに満ちた眼~ episode.1 憎しみ

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「君ここに住んでるの?」 「そんなとこ」 せめて女の子らしいところを男に見せようと、サラは無邪気そうに笑ってみる。 すると意外な一言が返ってきた。 「そっか……じゃ~さ。……道……教えてくれない?」 「え?」 男は気恥ずかしそうに続ける。 「いやさ、俺、最近越してきたばかりでさ。右も左もわからないんだ。あー……、今払ったの情報代……ね?」 心底変な人だが、別に自分をどうこうするといったようなことはなさそうだし、お金のこともあったので、サラは協力することにした。 「いいよ。教えてあげる。どこ?」 「え~と……ここ」 ガイドブックのある一点を指差しながら男が言う。サラも男の目的地がわかるように覗き込む。 「近いかな?」 「ああ、ここね。んー、三キロくらいかな?」 「そうか。ホントにどうもありがと。じゃね」 「バイバイ」 素っ気ない挨拶とともに手を振る男に合わせて手を振り返す。 男は去っていってやがて見えなくなった。 サラは建物と建物の隙間に戻り、うずくまるように丸くなる。 〔面白い人だったけど、多分もう二度と戻ってくることはないだろうな〕
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