Hateful eyes ~憎しみに満ちた眼~ episode.2 初恋

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「……なるほどね。つまり君と一緒にいると俺まで危なくなるかもしれないってことか」 「それは……」 サラはハリーの核心を突いたような一言の前に言い淀んでしまう。返す言葉が見つからないのだ。 確かに、サラに関わって不幸な目にあった人は多い。医者しかり、いじめっ子しかり、父親しかり、そして、母親しかり。 改めて自分の立場を認識するサラは、言い逃れのできない位置に居る。自分は、周りの人を不幸にするような力でもあるのかもしれない。 もしそうだとすれば、この先二度と、サラは外界の人間と接触することは許されないかもしれない。世間が許さなくとも、サラ自身が他人との繋がりを断ってしまうことだって有り得る。 そんなサラの心配をよそに、ハリーはとんでもないことを平気で言ってのけた。 「ま、いいんじゃないの?そういうのも。スリルがあって」 ハリーのこの発言にサラは、神様はどうしてこんな人を作ったんだろうと答があればどうしても知りたくなってしまった。 そもそもスリル云々以前の問題である。
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