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「きっとその電話口の子だって事件とは無関係だよ。話せばわかってくれるって」
「……そうじゃない時は……」
「大丈夫だって」
あくまで平和ボケした事を言うハリーに、サラは会って住み込もうと思った時から考えていたことを、心を決めて言葉にする。
「……私が…………ハリーを、守るから…………」
「……そうだな。能力も何もない俺は足手まといだな」
「違うの……っ!そういう意味じゃなくて……!」
自分の真意とは違うことを言うハリーに対し、サラはすぐさま否定しようとするが、その時、とても深く、愛情で包み込まれたような優しい言葉がサラに向けられる。
「でも……こんな俺でも、君を慰めてあげることぐらいは、できるよ」
その言葉にサラの疑念は完璧なまでに打ちのめされた。
捨てられるかと。
騙されるかと。
嫌われるのかと。
何度も何度も心の中で繰り返しながらも、拒絶されるのが怖かった。
何より辛かった。
しかしハリーはそんな疑念さえ気にすることはないという。
サラの中にこれまでにない安堵感が訪れる。それと同時に、胸の内が少しだけ熱くなっているのを感じるサラだった。
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