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それからというもの、サラはハリーの後をどこに行くにもずっとついてまわって離れなかった。
ハリーはハリーで別段迷惑そうでもないし、気にしていないようだ。
因みに、ベッドはサラに完全に制圧されていた。
ある時は遊園地に。ある時はピクニックに。またある時は外食したりと放浪の日々とはうってかわって幸せな日々が続いた。
食事は基本ハリーが作っていたが、食べられない……ワケではないが、それでもあまり美味しくなくて、二人で「マズイね」などと笑ったりした。
そこで、これではイカンと勇気を持って立ち上がったのがサラである。
サラは料理の本を買って一生懸命料理を勉強し、居候の身でハリーの役にたとうと必死に努力した。
結果、何とか普通の料理にありつくことができていた。
「ゴメンね。もっと勉強してお料理上手になるから」
自分の才能の無さに哀しい笑いとため息しか出てこない。
「いや、これがいいよ。これからも、料理はサラにお任せしようかな?」
ハリーの言葉に心から癒される。サラはさらなる活躍と精進を誓って、敬礼のポーズをとり───。
「えへへっ、お任せされましたぁ!」
ちょっと涙ぐんでいたことは、ハリーには内緒である。
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