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見れば、鞄を置いたハリーのもう片方の手には中身がぎっしりつまった買い物袋がぶら下がっていた。
買い物袋の中身は、大きさから推測するに、牛乳、卵に、ステーキ、ポテト、パスタに豚肉、レタスとネギは袋からはみ出ているからわかるとして、あとはトマトに冷凍食品が五、六つ。
それに大きめのパンが二つ。といったところか。
近くのスーパーで配布される袋に沢山の買い物を詰めたハリーの姿は、どことなく専業主婦に似ていないこともない。
「ん?何だ、わかんないか?仕事がSOHOに決まったから、俺はずっとこの家にいることになるだろ?」
「あ!じゃあ午前中もずっと一緒にいられるんだ!?」
「そゆこと。まぁいつまでもサラに料理で負けてるわけにはいかないし、たまには一緒に料理するのも楽しそうだからな」
要するにハリーは、サラと少しでも長く過ごすため、SOHOという仕事を選んだのだ。
……いや買い物の量が多いのは、言葉通りサラに料理の腕で負けないように練習するためか。
「猪口才な!!」と自らの推理と現在の有利な立場を守るため、そう叫びたい衝動に駆られるサラだが、何だか失礼な気がしたので黙っていることにした。
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