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サラが落ち着くまで見守ろうと決め込んでいたハリーだが、ゆっくりとしゃがむと、震えるサラを優しく包み込むように背後から抱きしめながら、耳元で囁いた。
「大丈夫……。君は悪くない……。
安心して……。落ち着いて……俺がついてる……」
小一時間ほどして、ハリーの肩を掴んで離さなかった手の震えが止まり、ゆっくりとハリーを押し離す。まだ俯き気味だが、サラの表情は泣き叫び始めた時に比べると大分明るくなっている。
「……ありがとう……。もう、平気だから」
そう言ってサラがハリーから離れようとした時。
「……。よっ!っと」
「きゃっ!?」
腰を両手で挟み込まれ、軽々と宙に浮いたサラが次に着地したのはベッドに座ったハリーの膝の上だった。
「な、何するの?」
顔を赤らめ、背後にいるハリーを見てサラが言う。
「意地っ張り」
反論は許さないとばかりに、ハリーはサラの胸の前まで手をまわし、サラをホールドしてから囁いた。
ハリーの息がサラの耳に吹き掛かる。だが不思議と、サラにはそれが不快に感じることなく、寧ろどことなく嬉しいと感じていた。
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