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「え゛!?」
即座に言葉は返ってきたが、少女の斬新な感想と、軽蔑するような、哀れみのような容赦の無い眼差しにハリーは困惑した。
〔ク、クサいって何がだ!?台詞か!?それとも体臭か!?体臭なのか!!?〕
「ウソ」
サラの唇が頬に触れる。
数秒、二人は見つめ合い、やがてサラは前へと振り返った。ハリーの手だけは、離さずに。しかしこれでは疑問が残ってしまう。
何故ハリーはサラを助けたのか?
ハリーのお人好しという性格を思えば考えるまでもないが、わざわざ同居させることはない。
〔もしかして、ハリーってばロリコンかも!?〕
いや待て。これは避けては通れない重大な問題だ。もし仮にハリーがロリコンだったなら、なるほどサラを助けたことにも納得がいく。
微かな疑惑を持って恐る恐る振り返ると、ハリーと目が合った。
「ん?どうした?」
「ううん。何でもないの」
くだらない考えを即座に頭から追い出す。サラはせっかくの甘い一時をこんな陳腐なことで台なしにしたくなかったのだ。
ハリーの指がサラの髪を撫でる。サラの手がハリーの手に触れている。
外は春風が静かに吹いていて。
サラ・フィーラスの、十二歳となった、穏やかな夜だった。
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