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そういえば、最近サラには気になっていることがある。
この四年間、ハリーと一緒にいると、妙にドキがムネムネ……もとい、胸がドキドキするようなことが多々あった。
この胸の高まりは何だろうとサラがあれこれ思案していると、ふと昔、母親のモリーが言っていたことを思い出した。
「───ママもね、昔初恋というものを体験したの。
あの時は夜も眠れなかった。相手のことを考えると、胸がとってもドキドキして熱くなるの。相手のことを想うだけで幸せになるわ」
「胸がドキドキして、熱くなって、幸せなの?何かすごく大変そう……。
そんなに大変なら、私初恋なんてしたくないなぁ」
「いいえ、それは無理ね。だってあなたみたいな魅力的な女の子が素敵な出会いをしないはずがないもの」
夢見る乙女にあるまじき発言をする娘に、モリーは優しく諭す。
「サラ。あなたにもいずれ素敵な人が現れるわ。その時は、そのドキドキを忘れずにね」
「───サラ?」
「ふえっ!?な、何!?」
ハリーの言葉に現実に引き戻される。
「大丈夫か?ボーッとして。……ご飯だぞ」
一日の終わり。
夕食はシチューである。
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