637人が本棚に入れています
本棚に追加
今日の夕食担当はハリーだ。
食事は当番制ということにして、週に一回ほど、サラとハリーが交代で調理を行う。ただし手助け・手伝い有り、ということで、そこそこうまく切り盛りしていた。
そして今夜のメニューは何と!全世界の八割のお子様が好き……だと思われるシチューである。
テーブルに乗っている綺麗な大皿に盛ってあるシチューは、ホカホカと半透明な湯気が立ち上る。
材料はジャガ芋や人参を細かく切ってあり、牛乳を混ぜたであろうシチューのルーは、とろりとしてコクがあり、確実にハリーの料理の腕が上がっていることを意味していた。
二人で食べている途中ハリーが、余裕の笑みを浮かべながらサラに話し掛けてきた。
「フフン。この分なら俺がサラを追い抜く日も近いな。いや、もしかしたらもう追い抜いてるかも」
「……っ!ふんだ!まだまだ負けないもんね!」
……いや。実は料理の腕ではサラが結構負けていたりする。
それを承知でムキになるサラが可愛い。
しかし劣勢を認めたくないというもう一つの気持ちが、負けず嫌いな彼女のやる気を駆り立てる。
最初のコメントを投稿しよう!