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だがむしろ、気持ちがはっきりしたことで、サラの感情は今までにないくらい弾んでいた。
サラの世界観はガラリと変わった。
全てがバラ色に見え、穏やかな気持ちが沸き上がる。
夢のような素晴らしい日々が続く
───はずだった。
ある日の夜、
ハリーは仕事の手を休め、椅子に座って読書に耽っていた。サラはハリーの以前の『シチュー思い/つけ あがり事件』の報復のために、最高の料理を作ってハリーを見返すのを目的に食材の買い出しに出掛けていた。
窓のカーテンの隙間から月の光がわずかに見える。今夜は満月らしい。
ふいに玄関が開き、サラが帰ってきた。
「おかえり。サラ」
振り返ることなく、ハリーは帰宅したサラに声をかける。
「……へぇ~、いい所に住んでるじゃない」
サラのおかしな言葉に、何の冗談だろうと本に目を落としたまま、ハリーは椅子ごと振り返る。
「ハハ何言ってるんだよ?」
「貴方がハリー・クルーガーね」
今度こそおかしな発言をするサラに、本から目を離し顔を上げるハリー。
すると、出かける時とは違う服装をしたサラがそこに立っていた。
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