Hateful eyes ~憎しみに満ちた眼~ episode.2 初恋

22/43
前へ
/266ページ
次へ
だがむしろ、気持ちがはっきりしたことで、サラの感情は今までにないくらい弾んでいた。 サラの世界観はガラリと変わった。 全てがバラ色に見え、穏やかな気持ちが沸き上がる。 夢のような素晴らしい日々が続く ───はずだった。 ある日の夜、 ハリーは仕事の手を休め、椅子に座って読書に耽っていた。サラはハリーの以前の『シチュー思い/つけ あがり事件』の報復のために、最高の料理を作ってハリーを見返すのを目的に食材の買い出しに出掛けていた。 窓のカーテンの隙間から月の光がわずかに見える。今夜は満月らしい。 ふいに玄関が開き、サラが帰ってきた。 「おかえり。サラ」 振り返ることなく、ハリーは帰宅したサラに声をかける。 「……へぇ~、いい所に住んでるじゃない」 サラのおかしな言葉に、何の冗談だろうと本に目を落としたまま、ハリーは椅子ごと振り返る。 「ハハ何言ってるんだよ?」 「貴方がハリー・クルーガーね」 今度こそおかしな発言をするサラに、本から目を離し顔を上げるハリー。 すると、出かける時とは違う服装をしたサラがそこに立っていた。
/266ページ

最初のコメントを投稿しよう!

637人が本棚に入れています
本棚に追加