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粉々に曲げられ、歪められ、折られ、捻られ、砕かれた鉄の遊具は、子供の遊び相手という存在意義すら剥奪され、ただの鉄屑へと成り果ててしまっている。
しかしサラは、倒壊したジャングルジムや平然としているウィラを見ても別段驚いた様子もなく、ウィラを指差しハッキリとした口調で警告するように言った。
「質問に答えて。
でなければ、次は首を狙うわ」
サラの威圧感のこもった声に怒気と殺気が宿る。
エメラルド色の眼は既に変化し始めており、その瞳はしっかりとウィラの全身を視界に捉らえていた。
「てめぇ!!」
サラの言動が気に入らなかったのか、チンピラめいた男の一人がサラに殴りかかった。
体格で言うならかなり大きな部類に入るだろう。そんな男に殴りかかられたらひとたまりもない。
だがその拳はサラには届かず、後目に睨みつけたサラによって男は上半身を消し飛ばされ、残った体は血を巻き散らしながら宙を舞って後方に吹き飛んだ。
あまりにあっけない結末。
先程のサラの発言に、「この状況でガキ一人に何ができるのか」と鼻で笑っていた男達だが、たった今、現実を見せつけられた。
男達の間に動揺と戦慄が走る。
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