637人が本棚に入れています
本棚に追加
しかしカルテには双子を出産とある。機械の故障であればやむなしと思われたが、調べてみるとレントゲン用の機械に異常は無かった。
出産直前は一人だったのに出産後は双子……。
こんな馬鹿な話があるだろうか?アメーバのように分裂したとでもいうのか。
カールは色々考えを巡らせていたが、この後もその妙な事件については、あまりに不可解な点が多いため、『機械の故障』で後日処理されることとなった。
激情が遡る。
疑惑はわずかな確証となり、怒りに手が震える。
サラの脳裏に大切な二人の顔が過ぎる。
今、かつてない憤りと共に血液は沸騰寸前まで到達し、サラの両眼は経験がないくらい強く鋭く相手のウィラを睨んでいた。
眉間にこれ以上ないくらいにシワを寄せ、隠しもしない憎悪は見えない津波となってウィラに襲い掛かる。
サラの滲み出んばかりの憎しみに、公園に咲いていた花は残らず枯れ果て、空には暗雲がとぐろを巻いている。
ウィラの許されない言葉に。
告げられた信じ難い事実に。
サラは心の底から嫌悪感を表し、吐き捨てるように言った。
最初のコメントを投稿しよう!