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ぱん。という音がして主任だった"モノ"が頭から真っ二つに破裂する。
何が原因なのか、どうしてそうなったのか見る者がいたとしても、咄嗟には理解できない状況。
ついにというかやはりというか。人形達は、壊れていたのだ。
赤ん坊は火がついたように泣く。
ただ何故か、新生児の泣き声というのは、いつ聞いてもどこか不快感を孕んでいるかのように思えるものだ。
その不快を煽る泣き声がリズムとなって、一人、また一人と破裂し倒れ絶命していく。
手術室の床に伏している、医師だったタンパク質の塊は、かつての人間としての尊厳など微塵も無く、また人としての権利など持つべきではないとでも言うのか、ヒトの原型を留めないほど凄惨なカタチとなっている。
いつしか室内は死体が横たわる血の海と化していた。
───楽しい。
これを引き起こした者がいるとしたら、その人物はそう思っているのではないだろうか。
人形が/人間が頭から破裂し、無い中身/中身を飛び散らせる、なんて、ちょっとしたエンターテイメントにしては醜悪。
狂った劇に狂った不協和音。
室内に、ただ、赤ん坊の泣き声だけが響いていた。
Hateful eyes ~憎しみに満ちた眼~ プロローグ
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