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砂煙がもうもうと巻き起こる。それはもう、紛争地のごとく、もくもくと。
今まで、憎いと思った全てのものを破壊してきたサラの眼は、避けることも防ぐことも不可能であるのは明白であり、ましてやたった一人の女の子がかわせるはずもなかった。
原因とか経過とか、原理なんてものは、サラだって知らない。理解できる道理もない。
ただ漠然と、察するだけ。この眼は、あらゆるものを"破壊する"のだと。そしてそれが、自分の人生まで壊していることに、サラ自身が何となく気付いていた。
そして今、十二年間の中で最も憎いとも言える相手に、最も強い憎しみをぶつけた。
これまでのように、サラの眼は途方もない破壊力でウィラに襲い掛かった。全てのもを破壊し尽くす眼は例外なく問題なく、睨んだ獲物の存在を許さない。
したがって、ウィラの生存確率は零パーセントである。
仕留めたか?
サラの頭の中で、何度も何度も同じ質問が繰り返される。
ウィラの爆死する前の不敵な笑みも、何ら脅威ではなかったというわけだ。
こうして最大の怨敵を葬ったサラは、くるりと噴煙に背を向け───
「その程度?」
突如、砂煙が分かれ、完全に消し飛ばしたはずのウィラが現れた。
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