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「覚えてる?あなたが生まれた時、生まれた時の不快感による憎しみに偶然発動したあなたの眼が、周りにいた八人の医師を殺し、私までも傷つけたわ。
あなたの母親は母体だからかなのかわからないけど、無傷だったし、眼を持つ者同士が傷つけ合うと抵抗力が働くようだけど……それでも、幼い私にはこの上ない苦痛だったわ。
赤ちゃんだったのに眼による傷を受けたのよ?その時の傷がどこに付いたかわかる?ここと、ここよ!!!!!!」
ウィラが手で空を×の形に切ると、サラの胸を×印の深い傷がえぐるとともに、血が大量に吹き出た。
「……………………!!!!!!!!!!!!!!!」
ウィラはあんなにも遠くにいるのに。サラに触れてもいないのに。
凍てつくような寒さが来襲する。破裂した服と一緒に、サラの上半身が空に飛び立つように反り返り跳ね上がる。
血の柱が舞う。
サラの体内より熱を持った赤くて朱く紅い液体が、ウィラの眼によって勢いよく宙に飛び出していく。
ウィラと同じく×印の付いたサラの胸から、まるで血液が自ら意志を持って外に出ていくような、そんな光景。
時間にしてほんの数秒。
その数秒を以て、サラとウィラの形勢はあっさりと逆転した。
「───……!!!!!!!」
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