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声にならない叫び。
ただでさえ致命傷だったサラは、更に死へと追いやられた。
ウィラの憎しみはこんなにも強いのか。今まで憎むべきもの全てを抹殺してきたサラの眼も、まるで歯が立たないほど。
事実、ウィラの眼はサラの眼を上回っていた。
いや、憎しみが上回っていたといった方がいい。サラ達の眼は憎しみによって発動する。同じ眼を持つ者同士なら、憎しみが勝っている方が勝つのは自明の理だ。
サラが男達を殺した時も、ウィラは自らの力を見せるため、サラの眼の力に自分の眼の力をぶつけて相殺させ、一番近くにいた男を力の証明のための生け贄に用意した。
───ダメだ、死ぬ……殺される……
ウィラはボロボロになったサラの近くに来ると、サラの周りを楽しそうに、軽快なスキップを刻みながら回り始めた。
その表情は、死にかけの実の妹を前にして少しも揺らぐことなく歪で、粗悪だ。
「そのうえ、自分だけ母親に引き取られて、赤ん坊の私が、今日この瞬間まで生きてこれたのにどれだけの奇跡が起こったか。
私は確信したわ。
きっと神様が私に、あなたに復讐するチャンスをくださったのだと!
母親に引き取られ、挙げ句の果てに彼氏まで作っちゃって───」
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