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泣いて、泣いて、泣いて、罵り続けて、永遠に感じた数日が過ぎた。
望んでもいないのに夜明けは訪れ、締め切った部屋のカーテンの隙間から朝日が射す。
緑にぃに触れて、最後の笑顔を見たあの日。
二人で過ごしたベッドに独りうずくまったまま、握り締めていた拳を開く。
少しでも緑にぃの気配を感じたくて、ずっとここから動けなかった。
形見になって、唯一俺の手に帰って来た緑にぃのピアスが、鈍く光る。
そういえば、緑にぃが高校に入って、初めてピアスを開けた時。俺も開けたいって、散々ごねまくったっけ……
緑にぃは困った顔で笑って「高校生になったらな」って、俺の頭を撫でたんだよな。
いつだって、俺にとって緑にぃは憧れの存在で……しっかり者で兄貴肌の緑にぃを、親父も母さんも、本物の息子みたいに可愛がった。
お互い一人っ子なのに、どうしてか末っ子気質の俺とは好対照で、兄弟にしか見えないってチビの頃はよく言われたよな。
外見はほとんど似てないのにさ。
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