壊れて行く世界

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 今年本当に緑にぃはピアスを開けてくれて、痛くて涙ぐんだ俺に、笑いながらキスしてくれた。  穴が固定されるまで、毎日様子を見てくれて、穴が固まった週末。プレゼントだって言って、一緒にピアスを買いに行ったんだ。  俺が見つけた綺麗な緑色の石がついたピアス。飾り気はないけど緑にぃも気に入ってくれて、喜ぶ俺に手ずからつけてくれた。  今だって、片割れは俺の耳についてる。  それなのになんで、揃って俺が持ってるんだろう。 「分け合った意味……ねぇじゃんか……」  力なく呟きながら、ぎゅっともう一度握り締める。  これが、緑にぃの代わりになるわけがない。  それでも、何もないよりはマシ……なのかもしれない。  でも、そう割り切れるほど、俺は人間が出来ていない。  もう片方の耳にピアスをはめる指先が、無様に引きつるのを止められなかった。
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