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泣くだけ泣いて涙が涸れると、どこにもやり場のない、怒りと憤りだけが残った。
身体の中で燻るそれに、じりじりと内側から灼かれ、まぶたの裏が血の色に染まる。
手にあまる灼熱の塊を抱え、一晩中、身動ぎ出来ずにじっと壁を睨んで過ごした。
胃の辺りには、鉛の塊のような何かがわだかまり、俺を不快にさせる。
カーテンの隙間から漏れる日の光。窓ガラス越しに聞こえるエンジン音。子供の笑い声。友達から送られて来るメール。静まり返った部屋にこもる自分の呼吸。心配して様子を窺いに来る親。
何もかもが、張り詰めた神経を刺激する。
緑にぃが失ったものを、当然のように享受している他人が、腹立たしかった。
そして、そいつらと同じ側にいる自分が許せない。日常を構成する全てのものが、緑にぃを意識させる。
失った者の大きさ、重さをまざまざと見せつける。
その度に尖った神経が過剰に反応し、胸の内がざらりとした吐き気でいっぱいになり、苦い物が口中に溢れる。
行き場のない感情は捌け口を求めて暴れまくり、それを持てあました俺は爆発寸前だった。
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