突然の訃報

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   うろうろと落ち着きなく、リビングを歩き回る。  時計とドアを何度も見比べては、小刻みに舌打ちを繰り返し、更に歩き回る。 「刹那ったら……檻の中の熊みたいよ」  母さんに笑われながら、俺はそわそわと待っていた。  一週間の旅に出ていた従兄弟の緑にぃが、ようやく帰って来るのだ。  三歳と七歳で出会ってから十三年も経つのに、こんなに離れていたのは、これが初めてだった。  小さな頃は、イベントや旅行も両家が一緒だったし、俺が中学に上がってからは、積極的に緑にぃと二人で出かけた。  だから人生初の置いてけぼりを喰った俺は、どんな悪態をついて迎えてやろうかと、ずっと考えながら待っているのだ。  この一週間、ケータイも繋がらない土地で、いったい何してたんだよ。  土産の一個や二個じゃ、許してやらないからな。  まずはタックルかます。それで、今まで何をしてたのか、徹底的に聞き出して、絶対に今晩は寝かせない。 「うぅー、早く帰って来いっ。緑にぃ!」    
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