143人が本棚に入れています
本棚に追加
迎えに行った伯母さんも伯父さんも、緑にぃの顔を見ることも出来ず、僅かな身の回りの物と冷たい壺だけを抱いて帰って来た。
その姿を見ても、話を聞いても、俺は現実が信じられなかった。信じたくなかった。
真っ白な壺に入れられた、骨になってしまった緑にぃ。
黒い額に収まった写真の中、俺の大好きな、いつもの笑顔を見せる緑にぃ。
ぐっと喉が鳴る。手のひらに爪が喰い込む。
「すぐに、帰って来るって言ったじゃねぇか……あっと言う間だって――」
その変わらない、もう永遠に変わらない笑顔に向かって、
「緑にぃの、馬鹿野郎っ……大嘘つき野郎ーーっ!!」
俺は散々悪態をつき、声が嗄れるまで罵り続けた。
喉がひりつき、引きつるまで叫んでも、胸のつかえはなくならない。
手を振り出て行った、緑にぃの優しい眼差しが、何度も何度も目の前をよぎって、言い様のない激情が込み上げた。
最初のコメントを投稿しよう!