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生温い涙がいつまでも、止まらずに滴り続ける。
伯母さんと母さんの静かな嗚咽が、堰を切ったように高まる。
参列者がしきりに若過ぎる死を悼み、近所のおばさん達が、
「気を落としちゃだめよ。せっちゃん」
「本当に残念ねぇ。あんなに仲がよかったのに」
と声をかける。
俺達の本当の関係を知っている数少ない人間で、緑にぃの友人の長谷や山口、茜や梨子は揃って俺の肩を叩き、
「頼むから、後を追ったりするなよ」
「緑音の代わりにはなれないけどさ、私達もいるんだからね」
口々に俺の心配をした。
だけど俺は、頷きを返す気力すら湧かず、俯いたままただ泣き続けた。
長谷達の存在はありがたかったけれど、今は二人きりになりたかった。
周囲の雑音など届かない場所で、緑にぃと向かい合っていたい。急速に遠ざかる緑にぃの存在を、どうにかして繋ぎとめておきたかった。
俺から離れて行くなよ。緑にぃ……
黒と白に切り取られた世界の中で、抜けるようにどこまでも青い空が、どうしようもなく目に沁みて痛かった。
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