短小説

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私は今日ある男を殺す。 この部屋の鍵を平然と開け 愛しいはずの私の元へ のこのこと奴はやってくるはず。 いつから計画を考えてたのか。 一週間前ある女から電話があった。 「慰謝料を請求します」 そんな内容だった。 私には関係ない…なんて言えない。 私は知っててこの関係を続けた。 体だけの関係だと割り切っていたが、それだけじゃ物足りなくなった。 -----独占----- したくなったのだ。 私だけの『もの』に。 いや、私だけの『人』になって欲しくなった。 3日前丁度貴方がこの部屋に入ってくる時 私はさも今検査をしたかの様に 「貴方!赤ちゃん…出来たみたいなの!!」 と、なんでもない普通の棒を振り回して喜んでみせた。 今でも覚えている。 喜んでなかった貴方の顔。 無理もない、同じ時期に二人も赤ちゃんが出来るんだもの。 大変よね貴方って。 もうそろそろ奴が来る。 私のお腹に一つも命を宿っていない事など知らずに 貴方は私を 殺しに 来る。 外は雨。 外は雨。
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